ITIL導入のプロセスを管理する方法

ITIL導入には多大な費用や労力が必要です。すべてのプロセスにITIL導入を行う場合、管理ツールの導入費を含めたさまざまな費用を合算すれば、数億円の投資が必要です。一方、このように多額の投資をしても、ITIL導入効果はすぐに表れるわけではなく、新たなプロセスが定着した後に一定のタイムラグを経てようやく得ることができます。ITILを導入してから計算すると、タイムラグは1年~数年になるでしょう。ITIL導入の効果を感じられるようにするためには、多大な投資が何故必要だったのかということを説明する責任を果たして、効果が出るまでのタイムラグの間に、担当者が継続的に改善を行っていけるように、目的意識を明確にして、共通認識にしていくという点が不可欠であるといえるでしょう。

ITIL導入にはどんな効果があるのか

サービスサポートとサービスデリバリに分けられるITサービスマネジメントにおいては、情報技術を顧客に提供していくサービスとして捉えられており、ITサービスの適切な管理がめざされています。効果としては、ITサービスの品質向上、ビジネスや顧客の要求に応じたITサービスの提供、コストの中長期的な削減がその効果として考えられます。これらは同時に得られるものではなく、効果が感じられるまでに順番があります。最も早く得られる効果としては、ITサービスの品質向上です。ITIL導入の目的は、担当者が暗黙視していたプロセスやノウハウを可視化して、情報を共有化することです。担当者がいなければ解決できないといった問題を減らし、プロセスが反復されることによって質が高まり、ITサービスの品質が向上します。

ITIL導入が効果を表すまでのプロセス

ITIL導入を行ったからといって、すぐに効果が出る訳ではなく、一定のタイムラグが生じます。インシデント管理を対象としてそれを簡単に図式化すると、過去のインシデントを分析することにより、どんな問題があるのかを捉えて管理をし、それに対して適切なプロセスを行うことでインシデントが発生する件数を減らし、顧客満足度が上がり、さらにインシデント対応についてのコスト削減につながるという流れになります。ITIL導入の効果を得られるまでは長いタイムラグがあるために、すぐに達成することが難しい最終目標を急に掲げても、担当者は息切れしてしまう可能性が高くなります。そのため、担当者が達成感を常に感じつつ、継続して改善していけるように、短期間で達成ができる目標を掲げていくことが大切です。